最新型のアコースティック・サウンドを聴かせてくれる オーヴァーグラウンド・アコースティック・アンダーグラウンド。 コロンビアの最新ウェアを身に纏ったメンバーを代表し、 TOSHI-LOWが語る「New Acoustic Camp」の意義とは？

「キャンプに、ちょっとだけ音楽がついてるイベントだよ」──オーヴァーグラウンド・アコースティック・アンダーグラウンド（以下OAU）のTOSHI-LOWはこう語った。来る10月15～16日、山梨県・道志の森キャンプ場にて開催される「New Acoustic Camp 2011」についてだ。この夏も日本各地でさまざまな音楽フェスが開催されたが、そうしたフェスとは少々違った趣旨を持つイベントなのだと彼は続ける。 「フェスって、決まりごとが多いでしょう？　セキュリティがガッチリいて、ここからここまでは行っちゃダメとか、立ち入り禁止区間がいっぱいあったりしてさ。そういうのを極力なくした、もっとラフな感じのイベントというか。お客さんと出演バンドが普通に一緒にいれる、演じ手と聴き手のボーダーラインをなくした……というよりむしろ、聴き手もまた演じ手であるという意識を持ってもらう感じのイベントです。
でね、物凄く不便なイベントでもある。食べ物は自分で作んなきゃいけないし、テントも自分で張らなきゃならない。キャンプなんだからね。逆に言えば、そういうことがちゃんとできるお客さんに来てほしいわけ。できない、やりたくないなら来なくていい。ただ、やりたいけど不安だっていう人に対しては、こっちも手伝いますよっていうスタンス。ちょこっと羽目を外しながらも（笑）、みんなで助け合ってさ。だから俺なんかも、夜は見回りとかやろうと思ってるんだ。"防犯予防"って書いてあるバットを持ってね（笑）」

今回で２回目を迎えるNew Acoustic Camp。昨年の１回目も今回と同じスタンスで、混乱もなく無事に進行したという。ただ、震災を経験した後の開催となる今回には、もうひとつ大事な意義が加わった。
「"自然とともに生きていく"っていう命題に関しては、みんなそれぞれ考えるところがあったと思う。自然を統治できるなんて考えてるヤツがいるなら、それはアホだと俺は思うし。だって自然がちょっとくしゃみしたりあくびしたら、俺たちの島なんて一発でやられるんだってことを目の当たりにしたわけでしょう？
このイベントは子供をフリーにしてるんだけど、そういうことを教える場にも使ってほしいという気持ちがあるから。山の中、不便な中で遊びながらさ、実践の中で生きてゆく術、生き延びる術を学んでほしいなって。安全神話なんか完全に崩された今さ、必要なのは、どんな状況になろうとも生き延びていく知恵や行動力なんじゃないか？ そして、それを子供たちに教える、未来に伝える義務が俺たちにはあると思う」
OAU、そしてTOSHI-LOWらが並行して活動しているBRAHMANでも、これまで一貫して歌われてきたのは"生きるということ""限られた時間をいかに精一杯生きてゆくか"ということだ。"柔のOAU""剛のBRAHMAN"とサウンドのタイプは違えど、とにかく音楽を通じて彼らはそれを発し続けてきた。そしてさらに一歩進み、実践でもそれを示そうとしている
――彼らにとってのNew Acoustic Campには、そうした側面もあるのである。


出典詳細
（ローリングストーン日本版10月号掲載インタビューより）
http://www.rollingstonejapan.com/
Photographs by Osami Watanabe
Styling by Masahiro Tochigi(quilt)
Text by Tomoko Nakagome

Special Thanks to Coleman Japan(www.coleman.co.jp)